なぜ日本に哲学は育たないと言われるのか

なぜ日本に哲学は育たないと言われるのか

芳村思風一語一会 vol.5635
なぜ日本に哲学は育たないと言われるのか

結論から言うと、
日本にも、東洋にも古来より独自の哲学がたくさんある。
ではなぜ、日本には「 哲学がない」とか「育たない」と言われるのか。
日本には、西洋的哲学や西洋的価値判断を基準とした哲学がないだけ。

西洋の学問は、理性をベースに細分化することで発展してきた。
「人間の本質は、理性である」と考え
「真理はひとつ」として、正しさを追究して発展した。
 西洋哲学は、個人の考えをどこから追及されても、
どんな角度から責められても、
 相手を説得できる崩されることのない根拠がつくられている。
だから哲学には、個人の考え方、信念しかない。

カントの哲学、ニーチェの哲学、ヘーゲルの哲学のように個人名を冠した哲学しかない。
カントの哲学とは、カントが個人で論証して体系化して作り上げた哲学。

時代に合わせて、新しい哲学が、個人によって作られてきた。

日本の大学の哲学科は、先ず誰の哲学を研究するかを決めなければいけない。
ニーチェを選択したら、ニーチェの書いた文献を研究し、
論文を書いて、評価を受ける。
だからニーチェ哲学研究の大御所はいても、
自分で自分の哲学を作ろうという人は少ない。

なぜなら、評価をする基準がなく、評価をできる人がいないから。
日本の大学では、自分の哲学は評価されない。

東洋の哲学は、西洋の哲学と違い、根拠が示されていないものが多い。
わかりやすいのは「論語」。
結論しか書かれていない。
自分自身の体験、経験、学び、気づきの結論を語っている。

なぜそうなるのかという根拠は、論語を学びながら、
自分自身で体験して気づかなければ学んだことにならない。
言葉ですら伝えられないものとして実感、体感で伝わってきた。
感じたことをすべて正確に言葉にすることはできない。
言葉は不完全な人間が作ったものだから、言葉も不完全。
根拠ではなく実践と実感で伝えてきたものに東洋や日本の哲学がある。

芳村 思風

やさしい笑顔と光がすべての方に届きますように・・・

※写真は、大学生時代に仲間と出した雑誌
昭和45年 11月 創刊号
定価100円
編集長 小橋章宏

※芳村思風の講演会・勉強会の案内
2025年
・1月11日(土)東京思風塾
13:00~15:30 北千束&ZOOM
参加費:5,000円

・1月25日(土)~26日(日)
認定講座 新大阪

問合せ
思風庵哲学研究所


Source: 芳村思風 感性論哲学の世界