佐藤正忠(経済界の創業者であり、雑誌『経済界』主幹)

佐藤正忠氏は、高度成長期からバブル崩壊後の1990年代、2000年代まで活躍した経営評論家です。㈱経済界を創業し、雑誌「経済界」の編集主幹を務めた人です。

私的経営評論というべき、「経営者の人物論」に優れ、三鬼陽之助(戦前から高度成長期まで活躍した経営評論家)の後継者と言われました。

佐藤正忠氏は、もともと小説家志望であり、『徳川家康』をかいた山岡荘八氏の弟子となって文章を磨く勉強をした経験があるそうです。それだけに、文体にキレがあって、私の好きな著作家の一人です。

佐藤正忠氏の設立した㈱経済界は、今でも活動していますが、以前ほどの知名度と注目はないようです。佐藤正忠氏には、数え切れない程の著作がありますが、現在では、忘れられつつある存在とも言えます。そこには、時代の変化があるのでしょう。

佐藤正忠氏の書いた一流の経営者の思い出話を読むと、高度経済成長に邁進していた日本経済の活力を感じます。

なお、一般財団法人佐藤正忠財団という財団も設立し、今も活動しているようです。

佐藤正忠先生の講義の内容はこちら
佐藤正忠著 (経済界、1991年1月刊)
『わが戦後財界秘史〈1〉身命(いのち)、果てるとも』 P.134~151より

 

それぞれの方のエピソードを紹介頂きながら
昭和の経営について感じるのは

「哲学が根本にあった」事ではないかと思います。
今の時代の様に会社の規模、事業内容、福利厚生など調べれば何でも分かる時代は
選択肢が多い為に、いろんな視点、角度から見れると思いますが

当時は新聞や口コミが殆どの時代において
人との出会いでその後の生きる道が決まっているのが多いと思われ
情報が少ない時代だからこそあえて、選択肢で迷うことが無かった事が良かったのかもしれません。
自分の進む道や考え方を「この人と共に!」という気づき発見をして一直線に突き進む。
他に情報が入ってこないからこそ迷うことなく一心不乱に突き進む
そんな時代背景があったかもしれません。

また奥村綱雄氏のエピソードに
その人が逆境の時に近づいて、成功すると退くという
奥村流というべき考えをもっいていて
当時の池田勇人との出会いからマスコミに袋叩きにあっていた頃に近づいて助けたエピソードを紹介頂きました。

今の時代は情報があふれている中で
どれを選択すればいいか迷う事も多いと思いますが
人との出会い、そんなエピソードに感動、共感して
この会社に入りたい。この人と一緒に仕事がしたいという
表向き、表面的外見だけではなく、内面心の部分に焦点を当てる事を大切にする
姿勢も大切ではないかと思う内容でした。