現:実家の金木町の斜陽館の斜陽が映画化という事で
いつも、人気のない金木町が賑わうのかなと淡い期待をしながら。
最近ちょくちょくと太宰のニュースが多くなりつつ
心が辛くなったら、太宰を読もうと。思うのであります。
斜陽に関しても人間失格に近い暗い、世の中と人のマイナスをとことん突き詰めた内容で、
簡単に言うと
麻薬中毒の弟が薬物欲しさにしゃっきんを繰り返し、なんとかしようとした姉が
弟の知り合いの上原さんという方にお金を頼った時に恋を抱いてしまった。その妻子持ちの上原さんにまた会いたいと何度も手紙を書きながら、やっとの思いで出会えた時に一夜を共にした
翌日に
弟が自殺
そして、姉は生きるよりつらい現実を受け入れ、シングルマザーとして生きていく覚悟をするのであります。
という人間の暗い暗い部分を映し出した様な内容で
道徳心の強い昭和初期の時代でまだシングルマザーが受け入れられない時代に
こういうのをかけるのは
ちょっと病的じゃないと難しいのかなと。
太宰という人間に焦点を当ててみると
キーワードとして出てくるのが
「世の中の不条理、自殺、不倫、廃人、うつ」
現実をまざまざと描いているものが多いのですが
こちらを見ると、マイナス思考や狂乱の世界がすべて悪い訳ではなく
見方によってはそれをプラスにも捉えれる内容でした。
精神疾患のなかでも躁病とうつ病には、
1)正しく現実を認識する力(リアリズム)
2)逆境からの反発力(レジリエンス)
3)他者との共感力(エンパシー)
4)創造力(クリエイティヴィティ-)の4つの能力を高める場合
社会が平穏なときには「正常のリーダー」が活躍する。
しかし普通でない大きな危機に対しては、狂気の指導者が必要とされる。
実際に、偉大なリーダーの多くが精神の病を抱えていた。
だからこそ、彼らは非凡な決断と行動で人々を導き、歴史に残る偉業を成し遂げることができた。
うつ病に苦しんでいたチャーチルは、暴走を始める前のヒトラーの本性をひとり見抜いていた。
深刻な免疫疾患と戦っていたケネディは、薬物治療の影響のもと核戦争の危機を見事に回避した。
ターナーはその躁的なクリエイティヴィティをもって巨大資本に対抗し、CNNを築き上げた。
ガンディーの共感能力は彼の非暴力的抵抗を支えた。
おそらく、吉田松陰も、松下村塾で生徒が1人2人でも涙を流して千早城の戦いの話をして心を揺れ動かしたというのは、狂乱の領域にいかないとできないだろうと。行動力も黒船に密航しようとしたのは、捕まったら命は無いのを承知の上で、それでもやると。
なので、太宰を読むとき、太宰を見るときというのは、普通の人の視点から見るとマイナス面しか見えないですが、病的なまでの執着心や気持ちを知って、ここまで文章で表現できるという見方をすれば違う角度からも見れるかなと。