「いい病院」研究会 活動報告2015

いい病院研究会

5月30日に「いい病院」研究会において活動報告が開催されました。

「いい病院」研究会は「いい会社」研究会において発足し、地域の雇用を守るには病院や福祉施設も重要だという事で病院経営からそこで働く方の幸せ(働き方、時間、役割等々)を研究していこうという事で発足しました。

 

冒頭、「いい病院」研究会 座長 北澤裕美子氏から「いい病院」研究会の中間発表を頂きました。

「いい病院」研究会の目的

「いい病院」により、幸せになる6人を大切にし、「いい病院」とはどうあったらいいかを研究、発表し ≪医療者にとっても、患者にとっても「いい病院」≫が日本全国に増えいくよう活動していく。「いい福祉施設」も同様に考えていく。

6人の【ステークホルダー】

1、医療者とその家族
2、医療関係者(医療事務、製薬会社、医療器械等)とその家族
3、患者とその家族
4、地域とその家族
5、経営者(院長及びマネジメント層)

2014年度の活動

月1回の定例会議ほか勉強会、見学会を行った
・ 見学会に向け、医療者、看護師、事務方へ100の質問項目をまとめた

5月  総合病院 聖隷三方原病院見学(浜松市) 病床数934床 
社会福祉法人「保健、医療、福祉、介護サービス」を柱とする総合的サービスを行う 
基本理念  キリスト教精神に基づく「隣人愛」
経営方針  この地域にしっかりと根ざし、住民に信頼される病院づくり
患者が参画する医療へ  玄関に「患者の権利と義務に関する宣言」を掲げている
・ドクターヘリ、ホスピス病棟・礼拝堂、よろず相談地域支援室あり          
・ホスピスは赤字(保険診療 負担は定額 すべて個室だが、個室料なし)

8月   勉強会「病院制度について」講師 溝口博重氏
日本の医療の歴史と現状、問題点、諸外国の医療事情などを学ぶ 
・日本の医療の評価:WHOで日本の医療は一番だが、患者自身の健康管理については、諸外国に比べ、最低レベルである 
・日本は医師が足りない: 医師数 イタリア10人―日本1人 
・医師の残業時間:一般の会社の2.8倍 
・看護師:残業時間少ないと定着率がよい             

9月  社会医療法人近森会 近森病院見学(高知市) 病床数 512床
救命救急センター  リハビリテーション  地域医療支援病院
理念 「命を救う」(救急) 「リハビリ」(家にかえす)
・仕組化されている(やらないことを決めている チーム医療)
・医師の過重労働がない(医師、スタッフの人数が多い 医師は本来の仕事のみ)
・地域連携の仕組みをつくっている
・黒字経営(点数が取れる診療制度を研究している)

11月  勉強会「緩和ケアについて」講師 溝口博重氏
・長野市の愛和病院の例をもとに学ぶ
・緩和ケア=ターミナルケアではない
・痛み、不安などすべてを取ること

1月  勉強会「2025年問題について」 講師 溝口博重氏
・団塊の世代800万人が75歳になる
・医療は供給不足になり、介護の需要が増大する
・国の対策が追い付かず、地域包括ケアは地域で、財政難のため在宅を増やす流れ
・中学校区(徒歩30分以内)で、医療、介護を完結するという考え方

問題点と今後の課題

1医療費の増大

2病院、介護施設(医師、職員)の不足

3病院の経営(公立病院の赤字 病院内【医局、看護、事務】の円滑化の仕組みつくり)

4患者のモンスター化

 

<医療側>

・医師の過重労働の改善
・地域にあった医療の仕組みつくり(救急、小児科、産科、介護が地域で完結できる)
・小児科・産科減少問題(制度の改善 手間かかるが、儲け少ない 訴訟が起きやすい)
・薬(捨てられる薬が多い 多重生産、多重消費)
・医師のコミュニケーション問題(看護師などがフォローする仕組み必要)
・医師同志が会話できる環境つくりが必要
・医師の心のケアできる仕組み必要

<患者側>

患者教育が必要(行政の関わりも大切)
・健康寿命を延ばす(健康管理の意識を高める必要がある)
・病院へのかかり方の意識を変える(安易に病院に行かない 医師任せにしない)
・医師も人間、間違える、コミュニケーションできない人もいることを理解する
・終末期をどうするかの意志表示(延命治療など、家族との話し合い、覚悟も必要)

 

本田宏先生講演

本田先生からは現在の日本の医療が抱える問題、その解決策についてお話頂きました。

6人の外科医で年間800人の手術を行っていた頃、一日の仕事が終わると当直でその仕事の合間で保健診断書を書くという仕事のサイクル。当直明けで返したいけれど,医者がいなくなるとまた呼ばなければいけない。現役と情報発信の二足のわらじは無理だ,とやめた。

・国民皆保険がないころ,十分な医療がなかった。昭和36年に,貧しい人も受診できるようになった。
無医村。→自治医大。一県一医大構想。 8000人の医師が毎年生まれるように。終戦直後50歳だった平均寿命は徐々に増えた。それとともに医療費も増えた。

・日本の医師数は,医療費できまっている。患者の必要度ではない。
「医療費は圧縮しないといけない」という世論が現状。当時は,医師が増えると医療費が増えると世界で言われていたが今は違う。しかし日本はまだそれを引きずっている。人口あたりの医師数は,OECDの最低になっているのが現状。

・医師不足なのに最近は,医者が増えているという表ばかりTVは見せる。世界の医師数はもっと勢い強く上がっている。

日本の医師は59歳まで過労死基準で働き、そして80歳でも仕事している。
にも関わらず医者の数が少ないという意見が世論では圧倒的。他の国は60才以上は超えていないのに。大阪は,2/3医者が過労死基準。過重労働は医療ミス発生にも。医療事故調査委員会。個人責任を問うようなものになっている。

 

次にパネルディスカッションの開催

北澤座長から「いい病院」研究会の会議を通じて感じた事として、元々医療側のサービスや対応に対しての課題を持っていたが、MTGを通じて実際の現場を知る事で自分達が無知、興味関心を持っていなかった事が問題として「患者教育」の大切さを挙げられていました。

小池医師、溝口様からは医師と患者のあり方」についてを中心にどうあるべきかをお話頂きました。

小池医師

患者と医者で対立しないモデルが出来ればと思う。

当事者意識の欠如により、医者任せになりすぎている所があるが
自分の体の専門家は自分であって、医者は患者の人生の全てを把握している訳ではないので
医療者との協力体制において一緒にやっていける形になればと。

溝口様

医療者は協力者でありなおすのは本人

自分の健康管理、つまり会社に例えると会社経営において財務状況が悪い、そしてコンサルタントを雇う。
医療に例えると、医師として看護士としての仕事として期待されているのがコンサルタントではあるが
コンサルタントとしての仕事を行う前に患者さんが「私の話を聞いてくれ」という所がスタートになり、本来の業務ではない事も含めて対応する範囲が幅広くなる事で疲弊感を持ってしまう。
解決策の1案としてはメディカルスクールを用意する事によって患者側の意識、知識を高める事で解消されるのではないか。

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