今回のテーマは「日本語と神道」
その中の「言霊信仰」についての解説を頂きました。
私たち日本人の言葉に対する特殊な信仰を言霊信仰という。「願望・祝福の言葉を述べれば幸運や祝福が実現し、その反対に、不吉・怨恨の言葉を述べれば、その語により禍難・凶事が実現するという考え方があった。つまり、言語には霊力こもっていて、その霊力が禍にも福にも働くと考えた。これが言霊信仰で、祝詞(のりと)・寿詞(よごと)・呪文・となえごと・諺・和歌・あいさつ語など言語の内面にも言霊がひそんでいており、また、そのために言語を発するには相当の準備必要とされたらしい。」(『小学館古語大辞典』)
「そらみつ倭の国は、皇神の厳しき国、言霊の幸はふ国」(空から見てよい国だと見える倭国は、皇神の守る厳格ですきのない国、言霊の力により幸ひがもたらされる国)(『万葉集』巻五・八九四)と考えられていた。
故に祝詞という神々に祈る独特な言葉を生み出し、となえこと、呪文はそれを称えることにより禍福を招来すると信じられた。和歌という独特の詩形式を生み出し「力をもいれずあめつちを動かす」(『古今和歌集』仮名序)ことも可能にした。言葉を大切にするところから忌詞と言い、使うことをはばかり、別の言葉で言い換えることも生まれた。死を「なおる」、病を「やすみ」といった。