日々勉強と読書と

関東若獅子の会

昨日は
月1のauraゼミ読書会(哲学、小説バージョン)

auraゼミ

でした。
ハンナ・アレント『アウグスティヌスの愛の概念』(みすず書房)

 

ハンナ・アレント

アレントは20世紀を代表する政治哲学者で、『人間の条件』で有名ですが、本デビュー作ではキリスト教最大の教父アウグスティヌスをたよりに愛と存在の問題について議論しています。この作品は、アレント自身が肌身離さず持ち歩き手を入れ続けたもので、人間における愛の問題は、彼女の思想の根源的テーマといえるでしょう。

ユダヤ人を出自とし、キリスト教的隣人愛とギリシア的ポリスの世界とを、一つの思想へとまとめあげたアレントの思想を今回は辿ってみようと思います。

課題範囲:一章、二章(p1-139)

課題:本書を通読し、200字以内で文章を書いてくる

※最近、医学史について調べていたらば、中世の大学と近代科学の歴史的相関がだいぶ見えてきたので、その辺もざっくり共有します。

では、読書感想文を(多分、本を読んでもなかなか理解しづらい内容かもしれません)

 

『愛の概念』を通じて、アレントが発見したのは、ひとと世界のあいだに広がる深遠な溝は愛によっても埋めることができない、ということであった。

「隣人が世界内に存在するのは、決して偶然として理解されてはならない」 アレント「我々は人間であるという点で全て同一でありながら、だれ一人として、過去

に生きた人、現に生きている、将来生きるであろう他者と、決して同一ではない」

我々が肯定あるいは否認するためには意志の能力を必要とするということである。 というのも、「意志」においてアウグスティヌスについて論じる際に彼女は、「肯定および否定の意志の力」を強調していた。 アレントがいう公平無私に判定する注視者の視線が向けられる過去を、「世代から世代へと手渡され,その過程を通じて一貫性を増していく」過去としてではなく、「断片化された過去」として理解できる。そしてこの断片の存在を肯定することができるのは判断力の仕事ではなく、意志なのである。

次回、2/9 auraゼミ

竹田青嗣『陽水の快楽』(ちくま文庫)を読みます。

今回のauraゼミは、いつもとは趣向を変えてポップカルチャーを議論しましょう。
扱う図書は、竹田青嗣の井上陽水論『陽水の快楽』です。

竹田青嗣は、入試の問題などのにもよく出る有名な哲学者ですが、彼の論壇へのデビューは意外にも井上陽水論にはじまります。なんでも、陽水は彼がもっとも影響をうけた<天才>のひとりであり、本書の内容も本格的な文芸批評あるいは哲学的論考になっています。

テーマ設定としても面白いですが、内容も大変面白く、陽水のファンでなくとも楽しく読めると思います。また、哲学の抽象的な議論を現代的な問題意識とつなげるのにも最適です。今回は、実際に陽水のCDを聴きながら、日頃慣れ親しんでるポップカルチャーの哲学的な側面について議論ましょう。

課題:
・本書を通読し、面白かったポイントに付箋を貼ってくる。
・200字以内で簡単な感想を書いてくる。

参加費:3,000円/月(初回2,000円)

関東若獅子の会